ニュースレタ ー: 2018年5月

M&A月報 No.250「Taking Off to New Height」

「Opportunity Thailand」と称した政府主催の大々的なセミナーから2年、政府は、今度は「Taking Off to New Height」というキャッチフレーズのセミナーを開催した。ソムキット副首相をはじめ、首相府相、工業相、デジタル経済社会相、BOI長官、国交相、科学技術相、商務相らの閣僚自身が登壇し、東部3県にまたがる東部経済回廊(EEC)を中心としたタイへの投資を呼び掛けた。

過去2年、国内総生産(GDP)成長率が加速、輸出額の成長率もマイナスからプラス9.9%に転じるなど、政情安定、経済堅調で結果が出ているとPRした上で、官民連携(PPP)関連規則の年内発効、それに伴うさらなるメガプロジェクトへの投資を促した。

東部ウタパオ空港とスワンナプーム国際空港、ドンムアン空港の3空港を結ぶ高速鉄道やタイ中高速鉄道事業、鉄道の複線化事業といった現在進行中の大規模プロジェクトに加え、それらをベースにしたバンコク―南部スラタニ間の高速鉄道敷設やインド、バングラデシュ、ミャンマー、タイ、ラオス、ベトナムをつなぐ鉄道網など将来的な構想も明らかになった。

「タイは、資金を出すだけの投資家ではなく、国家を共に発展させていくパートナーを求めている」と呼び掛けた。また、世界経済の重要拠点としてASEANへの関心が高まる中、域内の中心地であるタイとCLMV諸国(カンボジア、ラオス、ミャンマー、べトナム)を合わせた「CLMVT」の重要性も強調した。

また、EECやインフラ整備だけでなく、持続可能な開発を目的とした長期的な国家指針「20カ年国家戦略」の中で、国家戦略のビジョンを示したものとして位置づけられている「タイランド4.0」(※タイランド4.0とは、ドイツのインダストリー4.0の影響を受けており、先進技術を外国企業の誘致を通じて導入し、産業構造の高度化と先進国入りを実現するというもの)、電子決済やビックデーター政策を中心とする「E-Government」、スタートアップ企業への支援等についても、改革及び投資政策として掲げられている。

東部3県は30年に渡り、Eastern Seaboardとして経済の中心であり、世界との投資や貿易を接続して、自動車をはじめとする様々な主要産業地帯であるが、

今後は東部経済回廊(EEC)として、総合的な物流と交通システムを拡大、アジアにおける最も包括的かつ最新の観光源や新都市へと開発し、輸送や投資、貿易の中心地、そしてそれらに関わる企業の地域本部へと進化を遂げていく。

また、政府は、そのEECについて、EECd と EECi の2種に細分化した。

EECdとはデジタル革新及び産業推進区のことであり、地域のグルーバルデジタルハブとなる新経済区として、国際間情報交換センターや宇宙及び人口衛星信号送受信センター、係るデジタル産業への投資に焦点を当てている。

一方、EECiとは、技術革新区のことであり、タイを革新し続けていくために、世界の製造チェーンとタイの製造チェーンを接続して製造レベルの強化を図り、また、新製品の研究開発のため産官学連携を重視した中心都市を目指している。

また、未来産業にとって重要な専門家の養成やスタートアップを推進すると共に、併せて、創造促進のため、柔軟な規制緩和も行っていく。

その他、航空関連ハブ、国際貿易、多国籍本社、財政/金融センター等機能に加え、次の10産業の促進、レベルアップを図っていく。

・次世代自動車

・スマートエレクトロニクス

・高度な生物学及び農業テクノロジー

・食品加工

・富裕層向け観光及び健康ツーリズム

・日常生活と工業用ロボット産業

・航空部品、航空機修理センター等航空産業

・健康管理を備えた医療産業

・バイオ経済産業、生物化学とエネルギー

・デジタルテクノロジー産業